STYLE FOR PAINTINGS

初期のスタイルは、本来「習作」と位置づけられるエスキースを完成型としておりました。
有名画家たちが描いたエスキースには芸術家としての実力が如実に反映されていました。
しかし、何万枚描いても、モノトーンの世界には限界があります。
7Hの薄い鉛筆から木炭まで、あらゆる下絵用画材を重ねても、エスキースを芸術作品として成立させるには実力が足りませんでした。
わたしが啓示を受けたのは、毎日百枚を超えるエスキースと格闘していた冬のある日でした。
目に見えぬ空気の色と光と香りを描くという使命が降りて来たのです。
それは、いかなる絶景も絶世の美女も超える美の真実の姿です。
その日から油彩、ガッシュ、パステルを組み合わせたイラストテスイトの作風に切り替え、以降、現在までこの画材がわたしの作品を形成しております。
目に見えない感覚を表現すると、表面的には前衛的な作風になります。
しかし、それは「目に見えるようにした結果」であって、わたしが描いているのは、わたしの心が捉えたものを忠実に再現しておりますので、ある種、精密で写実的な風景画でありポートレイトでもある、「具象」と言っても差し支えのない作品です。

Pursue Aesthetics

目に見えぬ美を追い求めて
真冬の朝陽を浴びながら、散歩に出かけると、ふとした瞬間に無音の幻想世界へ旅立つことがあります。
東の空にあった太陽が、今まさに地平線からゆっくりと昇り始める。
張りつめた冷たい空気の中に、大地の呼吸音とともに目には見えぬ花の香りが広がってゆく。
その時、わたしは使命を感じます。
目に見えぬ大地の呼吸と香りをキャンバスに描きとめるのはわたしの役目であると。
描きたいのではなく、描かねばならないと、遺伝子の奥から突き動かされるのです。

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