美術ぷらす2020
2020年9月30日発行 A4版
こどもたちの可能性を広げ、夢へと導く
2018年の前半はスポーツの話題で日本中が盛り上がりました。平昌での冬季オリンピックでは2大会連続金メダルの羽生結弦選手を初めとした若い選手たちの活躍、ロシアで開催されたサッカーワールドカップにおいての日本代表チームのクリーンな戦いぶり、そしてアメリカのメジャーリーグでは大谷選手の二刀流と、いずれも若い世代、「ゆとり教育」を受けた世代の活躍が目立ちました。また、将棋界では高校生になったばかりの藤井聡太さんが史上最年少プロとして活躍し、連日ニュースを賑わせました。
「ゆとり教育」「ゆとり世代」というワードはネガティブな意味合いで語られがちですが、このようにスポーツだけに限らず若い世代の活躍を後押しし、実績・結果を残してきたのもまた事実です。今、時代は「脱ゆとり」に突入し、これからの子供たちはどのような未来を作っていくのでしょうか。
美術ぷらすでは創刊号から常に唱えてきたテーマですが、学力だけでなく、芸術・体力とバランスのとれた知性と教養を身に付けることではじめて自分自身の目で物事の本質を見極める力を持てるようになるのです。
知性とは、経験なくしては得られず、言い換えれば様々な経験・体験を幼い頃から重ねていくことで、その後に歩む人生に影響を与えます。子供時代に色々な物を「観て」「聴いて」「感じる」ことが重要となり、知ることが大事なのです。その入口として最近ではテレビやインターネットが大きな役割を果たしていますが、いまだ欠かせない大事なツールとして紙の本は必要不可欠です。
「見て」「読んで」「考える」ことで何も得ない子供はいません。言い換えると、子供の頃に触れたものはその後の人格形成に大きな影響を与えます。勉強だけでなく、芸術も理解でき、表現力に優れた魅力のある、真の国際社会で通用する人間になって欲しい。本当の意味でのバランスのとれた「知性」を身にまとうエレガントな人間になってほしい。「美術ぷらす」はそういう思いを持って作りました。
子供たちに豊かな「心」を教え、その子たちが将来大人になった時に、より素晴しい未来を次の世代に受け継がせていける力となれば幸いです。
「美術ぷらす」では、そんな子供たちを応援するために誌面を通じ、芸術、文学の分野から、その道に詳しい大人たちがお手伝いします。こどもの未来に何かを+(プラス)する本。「美術ぷらす」が国際社会で通じる未来の大人たちの「宝」となれば幸いです。