本展の会場は、清潔感のある美しい空間が来場者に居心地の良さを提供することで人気のギャラリーホールとして知られています。
今回で二回目となる『つくりびと総合芸術展』は、開催期間を通じて多くの来場者に恵まれました。初日はそれまでの温暖な気候から一転、冷たい雨の降る中、開館と同時に賑わいました。
本展では全国および国外から国際交流活動を行う青少年による作品も多数展示。アートを通じて世代や国境を越えたイベントとなりました。
開催二日目日には、ヒッポファミリークラブの子供たちおよびそのご家族による見学会が行われ、芸術教育の重要性を再認識されていたようです。
小学校など児童の教育現場では、コロナ禍の影響により、交流が制限されてきました。本展の作品鑑賞がふれあいの場になることを願って参加を打診しましたが、ささやかながら目的が果たせたと自負しております。
そして本展の主役である〝つくりびと〟達の作品は、永い経験と実績に裏打ちされた存在感を放ち、老若男女を問わず来場者を楽しませました。
本展の出展者は、アート業界初のフリーマガジン『つくりびと』の誌面を飾ってきた、印象深いアーティスト達を中心に構成されています。全国の展覧会、個展などで活動されているか、SNSやブログなどデジタル空間を発表の場にされている芸術家を対象に、素敵な作品を見つけ出し、長い年月と手間暇をかけて個別に掲載をお願いし、ようやく一冊に仕上げるという流れを10年、100 冊以上続けて参りました。
掲載作は各分野のアーティストの個性を尊重し、様々な分野から広く紹介出来るように努力して参りました。その基準を展覧会にも持ち込み、多彩な作風を楽しめる展示構成を意識しました。異なる作品分野の複合展示は、どうしても鑑賞時に違和感を与えてしまいます。素材や画材が違えば当然ですが、この違和感の払拭には毎回頭を悩ませて来ました。しかし今回は、一見、整合性が取れておらず、ジャンルも作風も多種多様なのに、まとまりのある雰囲気を感じて下さった来場者も少数ながらいらっしゃいました。
皆様にも同じように感じて頂いたとすれば、毎晩遅くまで展示構成を練った甲斐があったかも知れません。
今回、書道 2 名、布絵・フラワーと染色の各1名に限り、同作者の作品を個人特集展示として複数点展示しております。これには、未来へ継承すべき分野として、多くの世代に伝えたいというテーマに基づいたものです。
子供たちの作品は、子供ならではの愛らしさが鑑賞者の目を楽しませていましたが、優れた空間処理、斬新な構図に目を見張る作品も少なくありませんでした。
そんな子供たちとご家族は、ご自身はもとより子供の作品が目当てで来場されたにも関わらず、〝つくりびと〟達の作品に惹きつけられ、大人の感性と迫力の明らかな違いに心を打たれている様子でした。
子供たちのご家族から、「素晴らしい作品を生で見て、刺激を受けている子供たちの芸術を見る感性を目の当たりにして感激しました」などの意見が寄せられました。
子供たちからの屈託のない感想が〝つくりびと〟たちの制作モチベーションを高めることと確信しております。
文学作品についても、俳句・短歌の作品はわが国で屈指の伝統を持つ工芸品である瀬戸焼(御深井釉・織部釉)を用いた本展オリジナルの文学陶器を作成・展示し、図書紹介パネル、巻物表装の作品と合わせ、ことばの〝つくりびと〟を表現できる展示として会場を彩りました。