京都に集う多様なアートの祭典
2019年9月3日〜5日、みやこめっせ特別展示場
■誌面でしか見ることのできなかった『つくりびと』たちのアートがお目見え
2012年に業界初の美術のフリーマガジンとして誕生した『つくりびと』――。あらゆる創作ジャンルの作者や作品を紹介し続けて約7年。誌面に登場した創作者が1,000名を突破した記念として、9月3日から5日にかけて『つくりびと総合芸術展』を開催しました。これまで掲載した創作者を中心に、選りすぐりの作品を一挙に展示。絵画、書道をはじめ、いけばな、和紙ちぎり絵、染織などの伝統分野から、パッチワーク、クレイクラフト、服飾デザインまで、『つくりびと』ならではの多種多様なアート作品の披露の場となりました。
■後援ICOM 京都大会 2019
ICOM(International Council of Museums=国際博物館会議)は、1949年に創設された、ミュージアムの進歩発展を目的とした世界最大の国際的非政府組織で、2019年現在で世界138の国と地域から44,500人のミュージアム関係者が加入しています。博物館教育、マネジメント、保存修復、民族学、考古学、自然科学など30の国際委員会があり、それぞれの分野ごとにミュージアム職員や研究者が活動しています。そのICOMすべての委員会が一堂に会する世界大会が3年に一度大々的に開かれ、今年アジアで初めて京都で開催されました。9月1日から7日まで行われ、2日の開会式には秋篠宮ご夫妻もご臨席になり、秋篠宮さまは「これまでの文化・学術を人類の遺産として継承し、新たな未来を創造する上で博物館の果たす役割は大きい」と語られました。同じく会期中に行われた建築家 隈研吾氏、写真家 セバスチャン・サルガド氏、現代美術家 蔡國強氏らの講演も話題になりました。 本展はICOM京都大会の後援だけでなく、ICOM京都大会 特典協力にも参加し、大会を盛り上げるために尽力いたしました。ICOM 京都大会 2019のホームページでも本展を「関連イベント」「参加者特典協力」の双方で紹介していただき、ホームページを閲覧した人たちも多数会場を訪れました。本展以外にもICOM 京都大会期間中に開催された後援イベント・関連イベントは数知れず、この一週間は京都中で芸術の花が開きました。
■京都最大級の会場「みやこめっせ」
展示会場となった「みやこめっせ」は、ICOM 京都大会のメイン会場の国立京都国際会館と双璧をなす京都最大級のイベント施設です。しかも、京都市街から少し外れにある国立京都国際会館と違い、平安神宮のすぐ傍、京都市の中心地にあるため、見本市・展示会・学会を京都市で行う場合、第1候補に必ず挙がる施設です。実際、本展会期中にも「みやこめっせ」他会場では、京都商工会議所 主催『京都・くらしの文化×知恵産業展』、京都陶磁器卸商業協同組合 主催『第127回 京焼・清水焼大見本市』という大規模な催しも行われており、本展含めお互いの会場を行き来する人が多く見られました。図らずも美術ファン、伝統文化愛好家には格好の観覧スポットとなり、一日中「みやこめっせ」にいても飽きない一大芸術テーマパークの様相を呈していました。
■美術作品&京和紙アートカード、詩歌作品&京扇子で表現方法の新たな価値を披露
会場内に目を向けますと、『つくりびと』らしい多岐にわたるジャンルの作品が並ぶなか、ジオラマや折り紙アートなど他ではお目にかかれない作品が展示され、一際異彩を放っていました。また、特別展示として飾られた、詩歌作品と京都の伝統工芸品「京扇子」のコラボレーション。俳句・短歌・川柳・詩を扇面中央に、花鳥風月のイラストをワンポイントとして添えられた逸品は、詩歌と京扇子がお互いの魅力を相乗的に引き上げ、風雅な空間が顕れました。さらに受付に並べられた京和紙のアートカード。美術ジャンルの出展作品をこれも京都伝統の黒谷和紙にあつらえ、アンケートに協力してくれた来場者にプレゼントしました。特に海外の来場者から好評で、真剣な眼差しで時間をかけて選ぶ人たちで混み合い、その度に差し上げるスタッフが大わらわになりました。 会場となった「みやこめっせ」特別展示場は真ん中に柱がなく奥行きがあるため、入口に立つと最奥まで見渡せ、全体として開放感のある展示になりました。まず入口で来場者を出迎えるのは、絢爛ないけばな。そして左手から奥にかけて美術作品が整然と並び、右手には詩歌をあしらった京扇子、中央には立体美術作品と、見どころ満載の会場に来場者から多くの賞賛の声をいただきました。どこから観て回ろうか迷う人も少なくありませんでした。
■来場者でにぎわう会場
開場と同時にご出展者やご友人、ご関係者含め多数の来場者に恵まれ、幕開けから会場は熱気にあふれました。陸上競技で言うところの“ロケットスタート”に成功し、その後も順調に来場者数は伸びていきました。時間帯により来場者の多寡はありましたが、他会場の催しを鑑賞した人たちが続々と足を運び、従来の展示会より芸術や文化に関心の高い来場者が目立ちました。また、会場の目の前にある「京都伝統産業ふれあい館」を訪れた留学生や外国人・日本人観光客も数多く立ち寄ってくれました。多彩な日本の現代アートや詩歌という文化に触れ、皆一様に心を満たして会場をあとにした様子でした。普段なかなか目にすることの少ないジャンルの作品には、その鑑賞ポイントや芸術性についての質問も数多く投げかけられ、案内役を務めた正岡明先生は丁寧にご説明され、大変ご活躍でいらっしゃいました。
■ハイライト
ハイライトは最終日となった9月5日のICOM 京都大会のソーシャルイベントの時間帯でした。“ソーシャルイベント”とは、ICOM 京都大会において19時から21時にかけて行われた地区限定のナイトイベントの総称で、9月5日は本展会場の「みやこめっせ」を含む京都市・岡崎地区が対象でした。この日だけは、同地区の平安神宮、京都国立近代美術館、京都市動物園、京都伝統産業ふれあい館も夜間開館し、特別イベントを行いました。 18時ぐらいから徐々に青いストラップのICOM 京都大会参加証を首にかけたICOMメンバーが来場しはじめ、19時には会場スタッフ以外は海外の人たちばかりという状況でした。それから閉場までの2時間、引っ切りなしにICOMメンバーが来場しつづけ、日本でありながら、あたかも海外で展覧会を開催している感覚でした。ICOMメンバーたちが展示作品を興味深そうに、そして熱心に鑑賞する姿はとても印象的で、そのうえアンケートにも快く協力してくれ、大変友好的でもありました。日本の伝統美を伝える京和紙アートカードも好評で、帰り際には必ず作者・出展者とスタッフに対する感謝の言葉を口にしました。ソーシャルイベントの時間帯が夜遅い設定でしたので、ご出展者の方々とICOMメンバーの交流がほとんど実現できず、報告書で記述するだけなのが残念でなりません。 来場したICOMメンバー情報一部紹介 【国:アメリカ、イギリス、イスラエル、インド、オーストラリア、キプロス、コスタリカ、コートジボワール、セルビア、チェコ、デンマーク、トルコ、フィンランド、ブラジル、フランス、ベルギー、メキシコ】 【関係博物館:エストニア健康管理博物館(エストニア)、キャンベラ大学(シンガポール)、台湾史前文化博物館(台湾)、チベット博物館(中国)、バチカン美術館(イタリア)、NUS博物館(シンガポール)】
■来場者アンケート一部紹介
「独創的な作品ばかりで興味深く鑑賞しました」 「作者の深い思いに感動を覚えました」 「色彩の美しさと配色に感動しました」 「ユニークな発想力と素材づかいに脱帽しました」 「あらゆるジャンルの作品が勢揃いで、一日いても飽きることがないと思いました」 「京和紙にコンパクトに印刷されている作品が、実物は物凄く大きなサイズの作品で迫力に圧倒されましした」 「京扇子をコラボした文学作品がとてもマッチしていて新しい発見になりました」
■最後に
はじめての試みとなった『つくりびと総合芸術展』でしたが、前述のようにICOM 京都大会との連携も奏功し、大盛況に終わりました。後援いただきましたICOM京都大会2019組織委員会の皆さま、案内役を務めていただいた正岡明先生、誠にありがとうございました。特に、『つくりびと』84号にコラムを寄稿いただき、コラムにおいてICOM 京都大会と本展に触れてくださいましたICOM京都大会 2019組織委員会・委員長の佐々木丞平様には深く御礼申し上げます。そして何より、本展が大成功を収められたのも、趣旨にご賛同くださり、珠玉の作品をお預けくださいましたご出展者の皆さまのおかげです。この度、皆さまの作品によって、世界各国の博物館、美術館関係者が現代日本芸術の魂の一端を心に強く刻み、日本への理解と興味を深めたことは間違いありません。その自信と功績を今後の制作に生かし、皆さまが更なる傑作を創り出されることと確信しております。皆さまのこれまで以上のご活躍を心よりお祈り申し上げます。 『つくりびと』は、現在85号まで発行しております。今後も様々な分野で創作に携わる人たちやその作品をいち早く世に紹介していきたいと考えております。最後になりましたが、ご多忙のなかご来場くださいましたすべての方々に感謝申し上げます。 [つくりびと展実行委員会]
2012年に業界初の美術のフリーマガジンとして誕生した『つくりびと』――。あらゆる創作ジャンルの作者や作品を紹介し続けて約7年。誌面に登場した創作者が1,000名を突破した記念として、9月3日から5日にかけて『つくりびと総合芸術展』を開催しました。これまで掲載した創作者を中心に、選りすぐりの作品を一挙に展示。絵画、書道をはじめ、いけばな、和紙ちぎり絵、染織などの伝統分野から、パッチワーク、クレイクラフト、服飾デザインまで、『つくりびと』ならではの多種多様なアート作品の披露の場となりました。
■後援ICOM 京都大会 2019
ICOM(International Council of Museums=国際博物館会議)は、1949年に創設された、ミュージアムの進歩発展を目的とした世界最大の国際的非政府組織で、2019年現在で世界138の国と地域から44,500人のミュージアム関係者が加入しています。博物館教育、マネジメント、保存修復、民族学、考古学、自然科学など30の国際委員会があり、それぞれの分野ごとにミュージアム職員や研究者が活動しています。そのICOMすべての委員会が一堂に会する世界大会が3年に一度大々的に開かれ、今年アジアで初めて京都で開催されました。9月1日から7日まで行われ、2日の開会式には秋篠宮ご夫妻もご臨席になり、秋篠宮さまは「これまでの文化・学術を人類の遺産として継承し、新たな未来を創造する上で博物館の果たす役割は大きい」と語られました。同じく会期中に行われた建築家 隈研吾氏、写真家 セバスチャン・サルガド氏、現代美術家 蔡國強氏らの講演も話題になりました。 本展はICOM京都大会の後援だけでなく、ICOM京都大会 特典協力にも参加し、大会を盛り上げるために尽力いたしました。ICOM 京都大会 2019のホームページでも本展を「関連イベント」「参加者特典協力」の双方で紹介していただき、ホームページを閲覧した人たちも多数会場を訪れました。本展以外にもICOM 京都大会期間中に開催された後援イベント・関連イベントは数知れず、この一週間は京都中で芸術の花が開きました。
■京都最大級の会場「みやこめっせ」
展示会場となった「みやこめっせ」は、ICOM 京都大会のメイン会場の国立京都国際会館と双璧をなす京都最大級のイベント施設です。しかも、京都市街から少し外れにある国立京都国際会館と違い、平安神宮のすぐ傍、京都市の中心地にあるため、見本市・展示会・学会を京都市で行う場合、第1候補に必ず挙がる施設です。実際、本展会期中にも「みやこめっせ」他会場では、京都商工会議所 主催『京都・くらしの文化×知恵産業展』、京都陶磁器卸商業協同組合 主催『第127回 京焼・清水焼大見本市』という大規模な催しも行われており、本展含めお互いの会場を行き来する人が多く見られました。図らずも美術ファン、伝統文化愛好家には格好の観覧スポットとなり、一日中「みやこめっせ」にいても飽きない一大芸術テーマパークの様相を呈していました。
■美術作品&京和紙アートカード、詩歌作品&京扇子で表現方法の新たな価値を披露
会場内に目を向けますと、『つくりびと』らしい多岐にわたるジャンルの作品が並ぶなか、ジオラマや折り紙アートなど他ではお目にかかれない作品が展示され、一際異彩を放っていました。また、特別展示として飾られた、詩歌作品と京都の伝統工芸品「京扇子」のコラボレーション。俳句・短歌・川柳・詩を扇面中央に、花鳥風月のイラストをワンポイントとして添えられた逸品は、詩歌と京扇子がお互いの魅力を相乗的に引き上げ、風雅な空間が顕れました。さらに受付に並べられた京和紙のアートカード。美術ジャンルの出展作品をこれも京都伝統の黒谷和紙にあつらえ、アンケートに協力してくれた来場者にプレゼントしました。特に海外の来場者から好評で、真剣な眼差しで時間をかけて選ぶ人たちで混み合い、その度に差し上げるスタッフが大わらわになりました。 会場となった「みやこめっせ」特別展示場は真ん中に柱がなく奥行きがあるため、入口に立つと最奥まで見渡せ、全体として開放感のある展示になりました。まず入口で来場者を出迎えるのは、絢爛ないけばな。そして左手から奥にかけて美術作品が整然と並び、右手には詩歌をあしらった京扇子、中央には立体美術作品と、見どころ満載の会場に来場者から多くの賞賛の声をいただきました。どこから観て回ろうか迷う人も少なくありませんでした。
■来場者でにぎわう会場
開場と同時にご出展者やご友人、ご関係者含め多数の来場者に恵まれ、幕開けから会場は熱気にあふれました。陸上競技で言うところの“ロケットスタート”に成功し、その後も順調に来場者数は伸びていきました。時間帯により来場者の多寡はありましたが、他会場の催しを鑑賞した人たちが続々と足を運び、従来の展示会より芸術や文化に関心の高い来場者が目立ちました。また、会場の目の前にある「京都伝統産業ふれあい館」を訪れた留学生や外国人・日本人観光客も数多く立ち寄ってくれました。多彩な日本の現代アートや詩歌という文化に触れ、皆一様に心を満たして会場をあとにした様子でした。普段なかなか目にすることの少ないジャンルの作品には、その鑑賞ポイントや芸術性についての質問も数多く投げかけられ、案内役を務めた正岡明先生は丁寧にご説明され、大変ご活躍でいらっしゃいました。
■ハイライト
ハイライトは最終日となった9月5日のICOM 京都大会のソーシャルイベントの時間帯でした。“ソーシャルイベント”とは、ICOM 京都大会において19時から21時にかけて行われた地区限定のナイトイベントの総称で、9月5日は本展会場の「みやこめっせ」を含む京都市・岡崎地区が対象でした。この日だけは、同地区の平安神宮、京都国立近代美術館、京都市動物園、京都伝統産業ふれあい館も夜間開館し、特別イベントを行いました。 18時ぐらいから徐々に青いストラップのICOM 京都大会参加証を首にかけたICOMメンバーが来場しはじめ、19時には会場スタッフ以外は海外の人たちばかりという状況でした。それから閉場までの2時間、引っ切りなしにICOMメンバーが来場しつづけ、日本でありながら、あたかも海外で展覧会を開催している感覚でした。ICOMメンバーたちが展示作品を興味深そうに、そして熱心に鑑賞する姿はとても印象的で、そのうえアンケートにも快く協力してくれ、大変友好的でもありました。日本の伝統美を伝える京和紙アートカードも好評で、帰り際には必ず作者・出展者とスタッフに対する感謝の言葉を口にしました。ソーシャルイベントの時間帯が夜遅い設定でしたので、ご出展者の方々とICOMメンバーの交流がほとんど実現できず、報告書で記述するだけなのが残念でなりません。 来場したICOMメンバー情報一部紹介 【国:アメリカ、イギリス、イスラエル、インド、オーストラリア、キプロス、コスタリカ、コートジボワール、セルビア、チェコ、デンマーク、トルコ、フィンランド、ブラジル、フランス、ベルギー、メキシコ】 【関係博物館:エストニア健康管理博物館(エストニア)、キャンベラ大学(シンガポール)、台湾史前文化博物館(台湾)、チベット博物館(中国)、バチカン美術館(イタリア)、NUS博物館(シンガポール)】
■来場者アンケート一部紹介
「独創的な作品ばかりで興味深く鑑賞しました」 「作者の深い思いに感動を覚えました」 「色彩の美しさと配色に感動しました」 「ユニークな発想力と素材づかいに脱帽しました」 「あらゆるジャンルの作品が勢揃いで、一日いても飽きることがないと思いました」 「京和紙にコンパクトに印刷されている作品が、実物は物凄く大きなサイズの作品で迫力に圧倒されましした」 「京扇子をコラボした文学作品がとてもマッチしていて新しい発見になりました」
■最後に
はじめての試みとなった『つくりびと総合芸術展』でしたが、前述のようにICOM 京都大会との連携も奏功し、大盛況に終わりました。後援いただきましたICOM京都大会2019組織委員会の皆さま、案内役を務めていただいた正岡明先生、誠にありがとうございました。特に、『つくりびと』84号にコラムを寄稿いただき、コラムにおいてICOM 京都大会と本展に触れてくださいましたICOM京都大会 2019組織委員会・委員長の佐々木丞平様には深く御礼申し上げます。そして何より、本展が大成功を収められたのも、趣旨にご賛同くださり、珠玉の作品をお預けくださいましたご出展者の皆さまのおかげです。この度、皆さまの作品によって、世界各国の博物館、美術館関係者が現代日本芸術の魂の一端を心に強く刻み、日本への理解と興味を深めたことは間違いありません。その自信と功績を今後の制作に生かし、皆さまが更なる傑作を創り出されることと確信しております。皆さまのこれまで以上のご活躍を心よりお祈り申し上げます。 『つくりびと』は、現在85号まで発行しております。今後も様々な分野で創作に携わる人たちやその作品をいち早く世に紹介していきたいと考えております。最後になりましたが、ご多忙のなかご来場くださいましたすべての方々に感謝申し上げます。 [つくりびと展実行委員会]