■ボジョレー・ヌーヴォー解禁
今年は11月17日にボジョレー・ヌーヴォーが解禁されました。毎年11月第3木曜日に解禁されるボジョレー地区の新酒(ヌーヴォー)をボジョレー・ヌーヴォーと言いますが、もともと解禁日は定められていませんでした。しかし、ボジョレー・ヌーヴォーを早く売り出そうと競争が激化した結果、不正や品質低下が問題となり、フランスのワイン法で解禁日が定められました。今では、無事にぶどうが収穫でき、美味しいワインの仕上がりに感謝する日として、日本でもお馴染みのイベントとなりました。
■ボジョレー・ヌーヴォーでは初のフランス開催
あらゆるジャンルの美術・詩歌作品をワインラベルに起用し、芸術と食卓の融合を楽しむアートラベル展は、弊社ではすっかり人気イベントとして定着いたしました。ボジョレー・ヌーヴォーも過去に弊社では2012年、2013年と東京のレストランで開催し、ご来客・ご出展者ともに好評を博しました。そして3度目にして、とうとう現地フランスでの開催が実現しました。
■モンメラ城とボジョレー・ヴィラージュ・ヌーヴォー“シャトー・ド・モンメラ”
ボジョレー地区には、大小さまざまな2,000箇所にも及ぶワイナリーがありますが、この度、解禁日のイベント開催とワインの提供を快く引き受けてくださったのが、モンメラ城(フランス語でシャト-・ド・モンメラ)です。ボジョレー地区の中でも特に歴史があり、悲劇の王妃として名高いマリー・アントワネットが恋人と滞在していたことでも有名です。外観はヨーロッパの古城らしい佇まいで、1日に2回「城内見学ツアー」があり、国内外の観光客が多数訪れます。
観光施設としてだけでなく、モンメラ城には有名ワイナリーとしてのもうひとつの顔があります。海抜200~400mの小高い丘の斜面に位置しているモンメラ城周辺は陽当たりも良く、最高の状態に熟成したぶどうが産出されます。紀元前1世紀ごろからワインづくりが始まったと言われているボジョレー地区は、美食の町リヨンから北部に広がるなだらかな丘陵にあります。白ワインやロゼワインもつくられていますが、ほとんどがガメ種からつくられる赤ワインです。ここでの製法は、マセラシオン・セミ・カルボニック法(自然発酵の炭酸ガスによる浸漬法)で通常より長い時間かけて発酵させるので、凝縮された果実の風味が強く、美味しいのだと言われています。
そして、今回モンメラ城から提供されたワインが、古城の名前を冠したボジョレー・ヴィラージュ・ヌーヴォー“シャトー・ド・モンメラ”です。ヴィラージュがつくものはワンランク上のボジョレー・ヌーヴォーだとご存知の方も多いことでしょう。
■芸術とワインの融合を楽しむ人々
入り口正面のライトアップされた棚に展示されたワインラベルは、モンメラ城来訪者全員が必ず目にする場所にあり、間違いなくその空間の中で最も存在感がありました。会期中その前では、近づいて熱心に鑑賞する人や撮影する人の姿が見受けられました。
開催初日にはオープニング記念でパーティー料理も振る舞われ、日本からお越しくださったご出展者を、モンメラ城オーナー夫妻はじめフランスの方々が大いに歓迎してくださいました。
その歓迎ぶりが最も表れていたのがモンメラ城の「城内見学ツアー」です。通常のツアーコースを会期中に限り変更し、アートラベル展示会場を最終目的地にしてくださいました。ツアー参加者は最後にワインを試飲しながら、心ゆくまで芸術ラベルを楽しみ、お城をあとにされました。まるで展覧会が自然にお城の一部になっていたかのようでした。
「ワインラベルになっていた作品の作品集はないのか」「このワインボトルを今売ってもらえないか」というようなフランス人来場者の声は、会期中通してよく聞かれました。
■モンメラ城オーナーご夫妻 ごあいさつ
アモリー ダルクール伯爵、デルフィヌ ダルクール伯爵夫人
モンメラ城がダルクール家の所有になり、今年で450周年を迎えることができました。その節目のこの年に、このような画期的な催しに参加できて非常に嬉しく思います。普段は見慣れたワインラベルが皆様の作品と合わさることで、全くイメージが違って見えるのがとても新鮮でした。好きな作品もたくさんあり、どの作品がいいのか家族と言い合うのも楽しい体験でした。来年もやってもらえないかと期待しています。
ボジョレーのワインを使ったプロモーションとしてもいい展覧会だと思います。この次の機会があれば、県議会議員や役場関係者にもお話してみたいです(※夫人は地方議員も兼務されています)。今回、素晴らしい展覧会をモンメラ城で開催いただきましたこと、心より感謝いたします。ご出展された美術・詩歌の作者の皆様方のこれからのご活躍をお祈りしております。
■最後に
ボジョレー・ヌーヴォーの解禁日にフランスにて本展を実現できたことは、会場とワインをご提供いただきましたモンメラ城オーナーご夫妻、ご家族、スタッフの方々のご尽力と、何をおいてもご出展者皆様のお陰であることは申し上げるまでもございません。心より厚く御礼申し上げます。皆様の日本人として真心のこもった作品を、遠く離れたフランスの方々に、彼らにとって馴染み深いワインラベルにすることで、とても熱心に鑑賞していただくことができました。本展がきっかけで日本の文化や芸術あるいは日本人自体への理解が深まり、興味を持った方が多数いらっしゃったことでしょう。皆様のひとつひとつの作品が日仏の文化交流の貴重な架け橋となりました。重ねて御礼申し上げます。
(国民みらい出版)
■モンメラ城周辺情報1:ボジョレー・ヌーヴォー解禁マラソン大会
ボジョレー地区で解禁日に合わせて開催されている名物イベントが「ボジョレー・ヌーヴォー解禁マラソン大会」です。今年は11月19日(土)に行われました。コースは、フルマラソン、ハーフマラソン、12kmマラソンの3つに分かれており、フランスで開催されるマラソンの中でも人気の高い大会です。リヨンの北30㎞に位置するぶどう畑が広がるフルーリーからヴィルフランシュ・シュル・ソーヌまでがコースに設定されており、フルマラソンは12の村と複数のワイナリーの敷地内も走るコースになっています。いくつかのワイナリーに設けられた補給所には、ワインやオードブルが用意されており、走りながらワインを飲んだり、仮装して沿道の人々を楽しませたり、とてもユニークなイベントとなっています。
マラソン大会終了後には、ヴィルフランシュ・シュル・ソーヌの街でパレードが行われました。市庁舎前ではオーケストラによる演奏の中、参加者にボジョレー・ヌーヴォーが振る舞われ、ワインを楽しみながらお祭りムードで解禁日のお祝いが行われていました。
■モンメラ城周辺情報2:ヴィルフランシュ・シュル・ソーヌの街
リヨンの北20kmに位置するモンメラ城に最も近い街です。「ボジョレー・ヌーヴォー解禁マラソン大会」のポストイベントもここが中心でした。「ファーマーズマーケット」や「ミュゼ ポール ディニ(美術館)」が有名で、リヨンへの鉄道もこの街の駅を利用します。産業は、ボジョレー・ヌーヴォーを含むボジョレーワインが中心で、ボジョレーワインの流通には欠かすことができない街です。