会  期 2023年3月31日(金)~4月2日(日)
会  場 エコギャラリー新宿(新宿中央公園内)
主  催 美術の庭 エコロジカルアート展実行委員会
企画運営 株式会社国民みらい出版
後  援 環境省関東地方環境事務所、新宿区、公益財団法人日本環境協会こどもエコクラブ
協  力 一般財団法人言語交流研究所ヒッポファミリークラブ

 本展は、広義な観点でエコロジカルな芸術に光をあてる展覧会を目指し、特別監修に正岡子規の子孫であり子規の研究家、造園家、樹木医でもある正岡明氏を迎えて企画致しました。
 現代におけるエコロジカルな観点は多様化しており、地球温暖化による異常気象、それに伴う自然災害への対策も踏まえた視点で捉える必要があります。絶えず変化する自然環境を踏まえ、新しい環境に立った視点、新しい自然や生命観を提示する芸術表現に着目することが本展の課題でありました。
 そのために、アーティストのクリエイティブな発想を借り、第一歩としてエコロジカルな雰囲気に触れる機会を作ることになりました。

 会場のエコギャラリー新宿は、東京都庁の周囲に広がる都会のオアシス、新宿中央公園内にある複合施設であり、区民・NPO・事業者・行政・教育機関をつなぐ交流拠点として運営されています。  会期中は温暖な天候に恵まれ、新宿公園に咲き乱れる満開の桜並木が自然の演出効果をもたらしてくれました。また、園内にある市民の森では、紫や水色のムスカリ、ピンクや赤のチューリップ、黄色のスイセンが見頃を迎え、会場へ向かう道すがらもエコロジカルな演出効果の恩恵を得ることが出来ました。
 開催初日、本展の特別監修を務めて頂いた正岡明氏による講演が行われました。
 地球環境の話題を筆頭に、公園内での開催にちなみ、世界の庭園、公園設計の話題、特にフランス式庭園とイギリス式庭園の違いについて、造園家の視点から本格的に解説されました。幾何学的なデザインを追求したフランス式庭園、ありのままの自然を賛美し、自然と一体化した英国式。日本の公園は両者のデザインを適度に採り入れ、日本独自のスタイルにしたものが多く、市民の憩いの場として機能しているようです。
 本展は草花を主題にしたエコロジカルな作品ばかりという先入観を持って来場された方も多く見受けられましたが、多様性を重視した募集・選考を行ったため、広義な観点で捉えた多岐にわたる分野の展覧会となりました。
 実物作品の他に小川和紙(細川紙)によるポスター、図書、詩歌を筆耕した屋久杉の皿を展示し、作者自身による地球環境へのメッセージを展示し、展覧会を彩りました。

 エコロジカルというと、ボタニカルなアートが連想されてしまうのが一般的ですが、本展ではエコロジーに囚われることなく芸術家独自の解釈、視点で制作された作品ばかりとなりました。
 公園内という立地、見頃を迎えた色とりどりの花々、桜の効果もあってか、私達の足元に広がる美しい大地を意識するイベントになりました。
 また、新宿中央公園には都心では珍しいビオトープがあります。ビオトープとは、自然の生き物が住みやすい環境を人為的に整えた区域のことで、環境意識の高まりとともに、教育機関や行政などの主導で国内各地で整備が進められています。〝人為的〟な環境作りという点は、まさに芸術表現と共通するもので、いずれも目に映る景観を美しく構築することが目的の行為です。ビオトープの思想と芸術表現の距離を近づけることが出来れば、本展のようなイベントの意義は強まると確信しています。
 ご協力頂きました出展者の皆様を始め、関係各位に心よりお礼申し上げます。

エコロジカルアート展実行委員会

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