会場:東京芸術劇場
会期:2014年3月11日(火)~3月16日(日)

■3年目の祈り『復興の祈り展』

 2011年3月11日、東北地方を中心に我が国に未曾有の大打撃を与えた東日本大震災。その復興を支援するために様々な国、企業、有志が力を合わせ、被災地に手を差し伸べています。私ども株式会社国民みらい出版も、2011年9月に発行した復興応援メッセージ集『復興の祈り』を筆頭とした出版物や国内外での展示会において、義捐金の募集や被災地の伝統工芸を展示備品として積極的に採用するなどの支援活動を展開して参りました。本展はその集大成として、震災からまる3年となる2014年3月11日より6日間、東京都豊島区池袋の東京芸術劇場にて開催されました。会場には日本全国および一部は海外から、ジャンルや会派を越えて集まった様々な種類の美術分野、短詩系文学合わせて約250点の作品が展示され、弊社発刊の『復興の祈り』より抜粋したメッセージのコーナーや福島の子供達の絵画を展示した『東北のこども美術展』と共に、復興の祈りを多くの人々に発信しました。

「子どもたちは日々、前へ前へ、未来へ未来へと、歩み続けているのです」スズキヨシカズ

「かいがきょうしつ リベラ」は、福島県にある絵画造形教室です。
 今回は、このような素晴らしい会場で開催される素晴らしい展覧会に、子どもたちの作品を展示させていただけた事、「国民みらい出版」小林義隆代表取締役様はじめ、展覧会開催に向けてご尽力いただいたアーティストの皆様、そして、リベラの子どもたちの絵を担当していただいたスタッフの皆様に、心から感謝の意を表させていただきます。「ありがとうございました」
 会場に展示させていただいた子どもたちの絵は、2011年3月11日、あの震災の日の一週間後に描かれたものです。しかし、「これらの絵は~」と僕が解説を付けなければこれらが震災直後に描かれた絵だとは、だれにも想像出来ないのではないかと思います。それくらい、作品は明るい光と色彩に満ちあふれています。
 もしも、(福島県で被災した人々にとって震災を語る時は常に「もしも」という言葉が付いてまわります)2011年3月11日に起こった災害が天災としての地震だけであったなら、その被害を修復する事は~もちろん計り知れない辛労と労力そして膨大な時間を要する事であったとしても~人の力で何とかする事が出来たと思います。しかし、原子力発電所での事故が起こってしまいました。原発事故は、地震以上に様々なものを破壊しました。その破壊されたものの中には、子どもたちの心も含まれています。深く深く傷ついた、子どもたちの心もふくまれている筈なのです。
 なのに子どもたちの作品は、光に満ち、色彩に溢れ、そして眩いばかりに輝いているのです。ある子が言いました、「地しん、こわかった。すごくすごくこわかったことを忘れられるわけないし、わたしはわすれない。でもそれを絵にはかかないよ。わたしは、楽しかったことやうれしかったことだけを絵にかいて、のこしておきたいんだよ」ある子は新しい町の絵を描きました。その絵の中では、「建物」も「乗り物」も「動物」も「木」も「人間」も、描かれているものは全て笑っているのです。その絵を描いた子は言いました。「あのねヨシさん?わたしのかいた絵の中の町には電気はいらないんだよ。なぜだかわかる?わたしの絵の中では、みんなが楽しそうに笑っているでしょう?わたしの絵の中では、みんなが明るいの。その明るさが、電気のかわりに、町を明るくしてくれるんだよ!」
 震災から3年が経ちました。福島だけにかぎらず全ての被災地での復興は、人々の想いどおりには進んでいません。でも、子どもたちは日々、前へ前へ、未来へ未来へと、歩み続けているのです。
『復興の祈り展』この展覧会でリベラの子どもたちの絵を観て下さった方々が、ほんわりとした温かな気持ちを余韻に残して会場を後にしていただけたとしたら、そんなに嬉しい事はありません。
 2011年3月11日のリベラの子どもたちをこの場所に導き、招き入れてくれた全ての事象に、心から『感謝』します。

「震災を風化させない努力が大事」小林義隆

 本日はご多忙中のところ、東日本大震災復興応援メッセージイベント復興の祈り展のオープニングセレモニーにお越し頂き、誠にありがとうございます。本展開催にあたり、福島県の絵画教室「リベラ」からスズキヨシカズ様、また、生花作家の八子信妙様にご出席頂き、厚く御礼申し上げます。国民みらい出版の代表と致しまして一言ご挨拶申し上げます。
 皆様ご存知の通り、2011年3月11日に東日本大震災が発生致しました。警察庁の発表によりますと、今年2月末の時点での被害状況は死者1万5884人、行方不明者2636人と言われています。あれから3年経った現在も復興は進まず、原発や避難所生活などの2次被害も懸念されている状況です。
 国民みらい出版はこの東日本大震災と共に歩んできたと言っても過言ではありません。弊社が発行した1冊目の本は、被災者への応援メッセージを集めた『復興の祈り』であり、震災後1年目には宮城県の美しかった風景を写真パネルにして展示するイベント「みやぎの思い出写真展」を国際フォーラムで開催致しました。また、震災に多額の寄付を寄せてくれた台湾の方々への感謝の気持ちを石碑に刻み寄贈するという企画も昨年、一昨年と開催し、今年は台湾国内において関連書籍も発行する予定でおります。
 そして本日、3月11日という特別な日に東京池袋の芸術劇場において「復興の祈り展」を開催することが実現したのも、一重に皆様のご協力・お力添えによるものと、心より感謝すると同時に、御礼申し上げます。
 本展では出展作品のポストカードを会場内で販売し、その収益金につきましては日本赤十字社を通し、被災地に寄付させて頂きます。間接的ではありますが、このような活動を通じて、震災を風化させずに復興の一助となれば幸いです。
 最後に、被災地の一日も早い復興を祈り、開会の挨拶とかえさせて頂きます。本日は誠にありがとうございました

「東日本の方々に、早く当たり前の毎日が戻ります事を心からお祈り致します」八子信妙

 八子信妙と申します。今日は「祈り」ということで、お話を少しさせて頂きます。3年前の今日、この時間の出来事。日本中・世界中の人が、まさかそれが現実に起きているという事にショックを受け、おどろき恐れました。あの日から3年。復興する事を日本中の人が今日も祈り続けています。
 祈りとは全ての禍いを、災害や苦しみを、救い、良い事に変えてゆく、そういうエネルギーです。毎日の無事安全、旅行安全、合格成就など、日常の生活にも沢山の祈りがありますし、大きな祈りは、「鎮護国家」という言葉に代表される、国が安泰である様に。自然界が豊かで安泰である様に。といったものまで、いわば全てに祈りがあります。その祈りのエネルギーの一つは、私たち祈る人間のエネルギーです。もうひとつは宇宙に存在しているこの地球の中にあるエネルギー。それらが一つになって形になります。
 今、東日本の方々に、早く当たり前の毎日が戻ります事を心からお祈り致します。そして、亡くなりました沢山の尊い大切な命、その体が地球に戻り、その魂が早く良い所へ生まれ変わりますようにお祈り致します。
 今を生きる事、この現実を日本中が忘れない様にする事、私達にできる事で復興する日本の何かの役に立てればと願います。
 今日は国民みらい様、小林社長様、皆様のおかげで形になりました。私も参加させて頂きました事を心より感謝致します。
 ありがとうございました。

■ポストカード募金報告

本展は美術分野の出展作品にてポストカードを制作、販売してその収益を被災地に寄付する『ポストカード募金』を行いました。募金に協力して下さった多くの方々に御礼申し上げるとともに、募金額の集計報告をさせて頂きます。

募金額=350,984円
募金先=日本赤十字社 東日本大震災義援金

ポストカード募金の収益(通常の募金も含む)
350,984円

■最後に

 ここ3年間、復興支援関連の出版物や催しに関わっている関係上、震災の被害状況についてはなるべく情報を集めるようにしています。そんな中で率直に思う事がふたつ。ひとつはある程度年月が経っているにも関わらずいまだに大変な状況にある人々が思いのほか大勢いらっしゃるという事。もうひとつは都内などの被災地から距離のある地域に住んでいる人は、整備された仙台など一部地域の報道を見て、すべての被災地が復旧されたような錯覚を持ってしまっているという事です。「3・11の形骸化」と、言葉で表現するのは簡単ですが、避難所で生活なさっている方が現在でも約267,000人もいらっしゃるのが現状です。当然それだけにとどまらず、震災孤児の子供達も大勢いますし、原発関連の状況は今もって収束せず、国内外の報道機関にて大きく報じられています。3年の月日をもってしても、災害は現在進行形と言えるのです。
 本展を開催するにあたって、併設の『東北のこども美術展』にて協力していただける絵画教室を探して福島県内にある複数の絵画教室に連絡を取った際、「子供がほとんど引っ越してしまったので児童の教室は現在やっていません」と返答されました。次の教室も、その次の教室も、連絡を取ったほとんどの教室がそういった返答でした。本展にてご協力いただいた「かいがきょうしつリベラ」様のようにそんな中で頑張っている絵画教室もありますから、一概には言えないのかも知れませんが、これが福島の現状なのだというのを思い知らされました。だからこそ、本展で福島の子供達の絵画を見てもらう事の意味は大きいと感じています。この場を借りまして「かいがきょうしつリベラ」主宰のスズキヨシカズ先生に改めて感謝の意を述べさせて頂きたいと思います、本当にありがとうございました。
 本展の会場となった東京芸術劇場は都心の駅前という恵まれた立地、また使用した展示場の目の前は都内でも有数のクラシック・コンサートのホールで、連日大規模な演奏会が催されていたという環境だったため、多くの方にご来場して頂く事ができました。それに比例してポストカード募金にご協力して頂ける方も多かったのですが、その際に異口同音に「来年も開催して欲しい」「毎年見たい」というお声を本当に多く頂戴し、まことに嬉しい限りでした。それと同時に感じたのが、会場に飾られた美術作品や短詩系文学、つまりはご出展の皆様方の作品が来場者の心を惹きつけてくれたからこそ、そういう意見を頂戴できたのだという事です。今後も弊社スタッフ一同、皆様の素晴らしい作品に恥じないだけの展示会や出版物を目指し、精進を重ねる所存です。

(国民みらい出版)