2025古都芸術祭 春日大社

会場 : 春日大社 感謝・共生の館
会期 : 2025年11月8日(土)~10日(月)
時間 : 10:00〜17:00(10日は14:00まで)
主催: 古都芸術祭実行委員会
企画・運営:株式会社国民みらい出版
後援:奈良県、奈良県教育委員会、毎日新聞奈良支局、奈良テレビ放送

開催レポート

公式参拝と開幕行事
 会期初日の午後には、春日大社にて公式参拝行事を執り行いました。ご出展者さまのご健勝と活動のご発展を祈願した後、玉串奉納が厳かに実施されました。実行委員会を代表して正岡明氏が、芸術文化への思いや本芸術祭の理念について挨拶を行い、厳粛な空気の中、列席された皆さまは改めて「自然とともに生きる」ことに向き合われました。

多彩な展示作品について
 今回の古都芸術祭では、およそ80もの幅広い創作ジャンルの作品が展示されました。作品の多くに「自然」や「文化の継承」といった視点が織り込まれていました。
 近年、われわれは未来を担う子どもたちの感性を育む活動として、会場近隣の子どもたちによる絵画展示を恒例の企画として実施しています。今年は「奈良カトリック幼稚園」の子どもたちの絵画作品を紹介いたしました。さらに「墨の産地奈良で書を学ぶ青少年」による書道作品も初めて展示しました。
 さらに本展では、樹木とともに育まれてきた文化を再認識し、後世へ継承していくことにも取り組みました。奈良が誇る吉野杉は、500年以上の歴史を持つ日本の林業の原点ともいえます。文化の歩みに欠かせない木材は、建築材だけでなく、紙や墨の原料としても日本の文化を支えてきました。すぐれた詩歌・文学作品の展示物を、強く美しい吉野杉を用いて制作することで会場を彩りました。

貴重資料による特別展示
 本展実行委員である正岡明氏は、正岡子規の家系を継ぎ、子規をはじめとする祖先の遺品を守るとともに、その功績を顕彰するため講演や文筆活動を行ってきました。本展では、そうした活動の一端として、正岡氏所蔵の資料を特別展示するとともに、氏自ら展示物の解説を行いました。特別展示には、正岡子規の直筆書、子規の叔父でベルギー大使や松山市長を務めた加藤拓川が赴任先で受章した勲章、さらに子規や拓川宛の明治期の貴重な書簡などが含まれ、参加者は文学史と個人史が交錯する奥深い世界に触れることができました。

来場状況と会場の雰囲気
 会場は、春日大社特有の清浄な空気と樹々の息づかいに包まれ、アーティストの作品が自然ととけ合う、非常に心地よい空間が形成されました。
 秋の行楽シーズン最盛期だったため、期間中は国内外から多くの来場者が訪れました。特に、晴天に恵まれた初日はにぎわい、多様な作品群のひとつひとつにじっくりと向き合う来場者の姿があちこちにありました。2日目は雨天でしたが、落ち着いた静けさの中で作品を味わう方も多く見られ、天候ごとに異なる雰囲気が楽しめる三日間となりました。
 皆さまが出展作のクオリティと奥行きに驚きの表情を浮かべ、自然への敬意や作者の想いに感銘を受けている面持ちの方も多く見られました。さらに、宮司さま、巫女さまも神事の合間をぬってご来場くださいました。  また、子どもたちのいきいきとした表現には「心が洗われる」「温かい気持ちになった」という笑顔が見られました。吉野杉を用いた詩歌・文学の展示物からは、卓越した文学作品がもつ人生の重みと木材の香りや温もりが響きあい、来場者へ古からの日本の文化に思いを馳せる機会を与えました。

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