■ 世界の国々が「がんばれ日本!」 東日本大震災発生後、世界の国々が日本を応援するプロジェクトを開催していますが、フランスもまた被災地復興支援に大きな協力をしてくれています。あの大地震から半年を経た現在では、政治、スポーツ、芸術など様々な分野でその輪は広がっています。パリ日本芸術祭2011が開催された9月に限ってもフランス関係では下記のようなプロジェクトがありました。 ●フランス国民議会議員代表団が仙台へ ベルナール・アコワイエ国民議会議長が率いるフランス国民議会議員代表団が9月14日、宮城県仙台市の被災現場を訪れ、フランス国民を代表して東日本大震災の犠牲者に哀悼の意を表した。 ● 日仏対抗親善柔道大会 東日本大震災からの復興を支援しようと、日仏対抗親善柔道大会が9月23日、パリ市内のベルシー体育館で開催された。このイベントは東日本大震災で被災された方々のための義援金募金を目的に、スポーツ紙「レキップ」とフランス柔道連盟が共催。この日に集まった5万ユーロを超える義援金は、被災した柔道家の家族を支援するため、全日本柔道連盟に全額寄付される。 ●ギヨム・ボタジ展『HOPE 2011』 会期:9月16日~11月13日、会場:札幌宮の森美術館 ギヨム・ボタジは、日本の現代美術愛好家からも高い評価を受けているフランス人抽象画家。在日フランス大使館が5月に打ち出した、東北復興支援に向けた日仏文化活動を推進するキャンペーン「日本とフランス、共に明日に向かって」の一環で、同展入場料の一部は復興支援のための義援金として寄付される。 ● 日仏都市会議2011 日時:9月25日、場所:日仏会館ホール(東京都渋谷区) 日仏工業技術会は過去半世紀にわたって日仏間の科学技術や産業をめぐって交流行事を推進し、建築と都市の問題をめぐっても活発な議論を交わしてきた。「日仏都市会議2011」では未曽有の災害であった東日本大震災をめぐる諸問題に焦点を当て、日仏の専門家を招き、建築計画、防災、支援計画、技術論等の視点から議論を交わした。 もちろんその他にもたくさんのプロジェクトがありました。小さなものも含めれば数に限りはなく、世界からの「がんばれ日本!」の声に励まされる毎日です。 ■ 美しき日本へ、パリから想いを届ける パリの観光名所の一つであるマドレーヌ寺院は、ルーブル美術館やオペラ座からも近いパリの中心部にありますが、その圧倒的な存在感をもった姿は遠く離れていてもすぐに目につきます。しかし、ひとたびその内部に入れば、外観とは一変し、なめらかな大理石と豪華な装飾品の美しさが感動と安心感を与えます。 本展は、マドレーヌ寺院の地上階スペースで行われました。入り口は正面向かって右側で、幅5mほどの廊下のような東西に細長いスペースです。エントランス付近には、埼玉県立松山女子高校書道部から預かった色紙が展示され、東日本大震災の悲惨さと日本人の想いが語られました。書道の力はたいへん大きく、パリの中心部であるにもかかわらず会場の雰囲気を一変させる力と、和の香りが溢れていました。 さらに小さなドアをくぐり抜けると、その先にはワインボトルが純白の展示台に整然と展示されました。スポットライトを浴びて、ラベルも輝きます。ラベルにデザインされた芸術作品の存在感と、赤い折り鶴の繊細な美しさ。日本芸術を身にまとったワインの味は永遠に忘れられないことでしょう。また、絵画や書道の実物作品も同様に白いパーテーションに展示されました。芸術家の苦労の跡を感じさせる実物作品が醸し出す迫力は、そこが外国であろうとフランスであろうと関係ありません。作品に囲まれると、まるでそこが別世界であるかのように感じるパワースポットでした。 9月13日夜、パリ日本芸術祭2011の関係者約100人が集まりパーティーが開かれました。本展審査員・実行委員のフランソワーズ・イカール=ラングロワ女史、マドレーヌ寺院のリチャード・マッカーシー神父を始め、画家、歌人、俳人、日本研究家、世界からの観光客なども迎えて、ワインの試飲をしながら、芸術や文化交流はもちろんのこと、原子力問題や世界平和に至るまで、多岐にわたる話題が飛び交う夕べとなりました。話しだしたら止まらないフランス人の間には、笑いあり、歌あり、激論あり。芸術の力と国際交流の大切さをしみじみと感じることができました。 ■ 来場者の声 「日本のことを心配しています。尊敬して止まない日本が1日でも早く安心して生活できる状況になることを祈っています」 「素晴らしい作品を見せていただき、ありがとうございました。感動しました」 「少しでも力になれればと思い、ワインを購入」 「日本で自分の絵を発表したいと思っています。たいへん参考になりました。この機会をきっかけに、いつか日本で個展を開きたい」 「日本語を勉強しているので、俳句の原文(日本語)も見たかった」 「ラベルの短歌や俳句を読んでいると、まるで遠いアジアの国のものとは思えない。考えていることはとても似ている」 「地震や津波は怖い。日本がかわいそう」 「先日日本酒を買いました。日本は、食べ物も芸術も何でも好きです」 「各々が自分らしいテーマを持って芸術活動に取り組んでいる。家族や山の絵、遠い日の思い出の俳句、祭の写真、全てすばらしい。全員をフランスに招待して会いたいと思った」 「このプロジェクトによって、私たちの国のワインの価値が上がったように感じます」 ■ 最後に 本展会期6日間を通じての売上金は11,120ユーロでした。今後もしばらくの間フランス国内でのチャリティーワインの販売は継続し、本年内には在フランス日本国大使館に義援金として納め、東日本大震災被災地の復興支援に役立てて頂きます。 本展の成功を収めることができたのは、ひとえにご参加頂きました日本人作家の皆様方のお陰であることは申し上げるまでもございません。心より感謝申し上げます。今後とも皆様方のさらなるお力添えを賜りますようお願い致しますと共に、皆様のご発展を心よりお祈り申し上げます。(パリ日本芸術祭2011実行委員会) |