Kaohsiung International Poetry Festival 2012

会場:國立高雄第一科技大學キャンパス内
開幕式:2012年6月8日(金)10:30~

■-日本芸術石碑設置プロジェクト-
「高雄國際詩文大會」
 台湾は親日的とよく言われますが、その事実が顕著に表れたのが昨年3月に発生した東日本大震災の被災者への義援金でした。台湾外交部(外務省)が震災後まだ間もない4月1日に発表した金額は37億3833万台湾元(約106億9千万円)で、その9割以上が民間から集まったものでした。その後も集まり続け、7月には200億円を突破し、他国が発表する義援金の大きさと比較しても、人口や貨幣価値から考えると、その親日ぶりは圧倒的なものといえます。
 建国100年を迎えた台湾には、戦前に日本語教育を受けた世代がまだ多く残っていらっしゃいます。また、若い世代でも日本留学経験者がたいへん多く、日本語を理解する人口が最も多い外国と言えます。日本に親近感を抱いていることも、日本人にとっては嬉しいことです。
 -日本芸術石碑設置プロジェクト-「高雄國際詩文大會」は、このように親日的な国、台湾の国立大学に日本文化の源、日本人の精神的支柱になっている詩歌などを刻んだ石碑をプレゼントし、永久設置して頂こうというものです。雨にも風にも負けない石碑は、永遠に変わることのない日本人の心と日台友好の証となり、国の文化財として高雄屈指の国立大学に永久収蔵されることになりました。

■豊かな歴史と自然を併せ持つ都市「高雄」
 高雄は北回帰線の南、台湾島の南西部に位置し、台北から南へ約300キロの台湾海峡に面する海沿いの街で、通年温かい熱帯気候です。また、台北に次ぐ台湾第2の都市として産業も発達しており、台湾一の港である高雄港は世界10大国際貿易港のひとつとしてアジアの重要な中継港となっています。
 高雄は、打狗(台湾語:ターカウ)という小さな村から発展し、都市へと成長しました。1624年にオランダはこの場所に砦を築きましたが、1858年の天津条約で清は台湾島に複数の開港地を設けることを約束させられ、そのひとつである打狗港は1864年に開港しました。その後、1895年には下関条約により日本が支配、開発するようになり、地名に関しても1920年に台湾総督府により打狗と発音の近い内地の名所でもある高雄(たかお)に改称されました。
 街の様子は日本とよく似ていますが、街を貫く幹線道路は日本の都市よりもずっと整備されており、幅が広い道路には渋滞などありません。また、一大産業都市として近代的な発展を遂げた街でもありますが、幹線道路に沿って椰子の並木が続くなどゆったりとした雰囲気があり、人々には開放的な南国のおおらかさがあります。
 高雄市内には壽山と愛河の自然豊かな市民の憩いの場があり、六合夜市をはじめとした各エリアの夜市、海沿いの旗津で評判の海鮮料理など、街歩きの楽しい都市です。また少し郊外に出ると、澄清湖や名勝の西仔湾、高雄港など、少し足を延ばすと懇丁公園などの観光スポットがあり、南国の気候に恵まれた高雄市は観光にも優れた人情味豊かな都市といえます。

■国立高雄第一科技大学
 国立高雄第一科技大学は、民国84年(1995年)に「国立高雄技術学院」として創設されました。1998年には、学校運営の優れた実績が認められ、教育省の認可を得て校名を「国立高雄第一科技大学」と改称し、現在では、台湾南部地域において規模と信望を誇る最高学府として各界から広く認められています。その特色は、優秀な教員、優れた教育環境、好調な進学と就職、広い国際交流といわれますが、75ヘクタールに及ぶ広大なキャンパスには校訓である「敬業楽群(学業に専心し、学友と共に論じ、学ぶ)、卓越創新(卓越と革新)」を目指す学生が集まっています。
 応用日本語学部は1997年に新設されました。同学5つの学院中の外国語学院に属し、国立大学における唯一の応用日本語学部となっています。目的に応じて様々なコースがありますが、学生時代には日本に留学、卒業後には日本で研究を続ける学生も多く輩出しております。その後も日本企業で働いたり、日本語教育、通訳・翻訳、マスコミ、文芸出版、政府外交関係、観光ガイド、貿易、経営管理、日本語秘書など様々な分野での活躍ぶりは目覚ましいものがあります。
 本プロジェクトによって、日本人芸術家が生きた現代日本文化を台湾に伝えることにより、より良い大学となって、将来を担う優秀な人材が育成されることが期待されています。

■設置準備
 大学に届いた286点の石碑設置作業は、日本語学科の学生たちの協力なしには成し得ないものでした。日中30度を越す暑さの中、大学への入口から日本語学科のある棟まで続く通路に1体30キロはある重厚な石を設置場所まで運ぶ作業は、想像以上のもので、そんな大変な作業に嫌な顔ひとつせず、汗を流しながら2人がかりで石碑を運ぶ女学生の姿が印象的でした。そして、学生たちを集め、石碑の配置や装飾の考案・作業にご尽力頂いた日本語学部教授の林根藤先生および総務課の教職員先生方の存在も大変大きなもので、まさに先生と学生が一丸となって出展者1点1点の石碑を大切に取り扱って下さいました。

■開幕式 
 6月8日、国立高雄第一科技大学の関係者、作品出展者、報道関係者など、約100人が集まり開幕式が開かれました。国立高雄第一科技大学副学長、許孟祥氏を初め、日本語学科の教授各位、生徒たちが多数ご参列のもと、日本からご来場下さいました出展者を歓迎し、浴衣を着た女学生のおもてなしや、合唱部学生たちの演奏が式に華を添え、会場は大いに盛り上がりを見せました。
 また、本展の趣旨が台湾国にとっても大変有意義で、国内でも異例の催しということもあって、新聞・雑誌社などの多数の報道陣から取材を受けることとなりました。

●許孟祥【国立高雄第一科技大学副学長】
 日本芸術家の貴賓の皆様、そして本学各位教職員の皆様、本日は、大変光栄なことに、芸術家の皆様方が、はるばる日本からお越し下さり、本学との共同で主催する「高雄国際詩文大会-日本芸術石碑設置プロジェクト-」開幕式、並びに「詩文の道」除幕式にご参加頂き、誠にありがとうございます。
 合計286点の石碑が本学にて展示されることになり、本学の記念として、永久に飾らせて頂くことになりました。この石碑は、本学の特色をもった芸術景観の一部となり、我々第一科技大学にとっては、この上なき光栄なことと深く感銘を受けております。これは同時に台日双方の友好交流の証ともなり、ここに本学を代表し、深く感謝の意を表したいと思います。日本側の作品出展者の方々にこうしてご参加頂くことで、このプロジェクトは更に有意義なものになると信じております。
 あらためて日本の芸術家の皆様に対し、はるばる日本よりお越し頂いたことに深く御礼申し上げますとともに、日本の特色ある詩文作品を、本学は教師と学生一同にして吟味させて頂き、日本文学・芸術教育に役立てたいと思います。
●小林義隆【国民みらい出版代表】
 本日はご多忙中のところ、日本芸術石碑設置プロジェクト「高雄國際詩文大會」開幕式に、このような大勢の方々にご出席いただき、厚く御礼申し上げます。日本芸術石碑設置プロジェクトの代表としてひと言ご挨拶申し上げます。本プロジェクトは2010年にスタートし、石碑の収蔵先を探すところからスタートしましたが、国境を越えた永久収蔵は難航を極めました。しかし、2011年3月に東日本を襲った大地震がきっかけとなり、本プロジェクトが本格的に動き始めます。皆様ご存知の通り、どこよりも早く、支援の手を差し伸べてくれた国が台湾でありました。台湾の皆様からお寄せ頂いた義援金は総額200億円を超え、世界最高額であります。ここに日本国民を代表し、改めて御礼申し上げます。
 ここ高雄の地で、日台両国の先人の偉業に改めて思いを馳せつつ、新たな日台関係の構築に向けて、ここにお集り頂いた皆様と共に最大限の努力を行うとの決意を新たにし、私の挨拶と代えさせて頂きます。

■学生・教員たちの声
「日本語学科のまさにシンボルですね」
「絆という作品に惹かれました」
「私は今年で卒業ですが、明日の卒業式の記念にこの場所でみんなと写真を撮ります」
「俳句と短歌と川柳、同じように見えて違うんですね。日本の文学は奥深い」
「学科に通う通路に石碑が建って、以前より素敵な景色になった」
「私たちも俳句を学んで自分の石碑が建てられたらと思ってしまいました」

■最後に
 本展の成功を収めることができたのは、ひとえにご参加頂きました日本人作家の皆様方、国立高雄第一科技大学の皆様方のお陰であることは申し上げるまでもございません。心より感謝申し申し上げます。今後とも皆様方のさらなるお力添えを賜りますようお願い致しますと共に、皆様のご発展を心よりお祈り申し上げます。
(日本芸術石碑設置プロジェクト実行委員会)