入学の児ら停年のわれの顔
丸く幼く描きくれたり
蔓先をぐんぐんのばす苦瓜は
育ち盛りの少年に似る
乳の匂ひすこし残せる少女らの
夢のごとくに合歓の花咲く
「おはよう」と見知らぬ子らの明るさが
老いわれをつつむ露草の径
木漏日を鼬馳せ去るその瞬間
波だつ背にいのち漲る
入学の児ら
停年のわれの顔
蔓先をぐんぐんのばす
苦瓜は
乳の匂ひすこし残せる
少女らの
夢のごとくに
合歓の花咲く
「おはよう」と
見知らぬ子らの明るさが
老いわれをつつむ
露草の径
木漏日を
鼬馳せ去るその瞬間