[レギュラー企画]詩歌芸術紀行「旅するコトバ」ご案内

 旅に病んで夢は枯野をかけめぐる――
 松尾芭蕉の、意図せず辞世の句となってしまった生前最期の句です。
 奥の細道でも、序文から「漂白の思ひやまず」と思いを込めた通り、芭蕉は文字通り「日々旅にして旅を栖(すみか)」とした俳人であり、生涯を紀行文学に捧げた文学者でした。
 近代文学はもとより、『古事記』、『日本書紀』、『土佐日記』等、日本では古来より旅がモチーフとなり、時代が変わっても四季折々の旅の情緒が詠われ続けています。特に、短詩形文学は〈旅行記〉が主である海外の紀行文学とは決定的に異なる日本独自の文化であり、季語辞典『歳時記』が生み出された所以にも繋がります。
 それほど文学と旅は、特に短詩形文学と旅は密接な関係にあります。
 本誌では、「旅するコトバ」と題し、四季を巡る詩歌作品を文学的価値を基に厳選の上、紹介して参ります。

掲載内容

 本誌では、作品のみのテキスト掲載ではなく、伝統工芸とのコラボレーションを実施しております。
 これは伝統工芸文化を陰ながら応援するためです。
 コロナ過により、ただでさえ存続を危ぶまれていた職人や工房が次々と廃業、リタイアを余儀なくされ、高騰する材料費に反比例して収益が落ち込んでいる伝統工芸全般が絶滅の危機に瀕しています。
 全国規模で応援することは困難ですが、身近なところから少しずつ、ささやかに存続を支えることが出来ればとの思いを込めて、この誌面を企画しました。
 また、伝統工芸品と詩歌作品がコラボレートすることで、新たな芸術品としての価値が生まれます。
 詩歌作品の作者様にとっては、作品を発表することで日本の伝統文化を救う活動に貢献出来ることになるのです。

会津塗り

 Vol.1で応援させて頂くのは、今なお震災の爪痕深い、福島は会津の伝統工芸『会津塗り』です。
 430年前に産業としての礎を築いた会津漆器は、漆器の中でも光沢に落ち着きがあることで知られています。加飾技法に適しており、故に詩歌作品の加筆筆耕に相応しい素材です。他の漆器同様、器は木地師に、塗師は板物と丸物に、絵師は蒔絵と沈金とに、それぞれ複数の職人に分業されており、何れが欠けても成立しません。
 福島は東日本大震災のから10年の節目を迎えた後、コロナ過で更なる打撃を受けています。一方で、福島県は全国の感染者数、死者数からすると比較的低い数字に抑えられているように見えますが、度々の緊急事態宣言により、観光客に支えられてきた伝統工芸は直接的打撃を受けています。行政支援は手続きが煩雑であるか、とても支えにならない金額となっています。やはり、商品購入という直接支援に勝るものはないでしょう。